東北大学特任助教 兼 シグマアイ開発担当から、東工大の専任助教へ。いずれは研究と産業の橋渡しにも貢献したい。

東京工業大学 国際先駆研究機構 量子コンピューティング研究拠点 助教  荒井 俊太

 

 東北大学大学院の博士課程に在籍しながら、2020年5月よりシグマアイで正社員として働いていました。博士号を取得した後は、東北大学で特任助教を務める中でシグマアイでの勤務を継続。2022年3月にシグマアイを退社し、2022年4月に東京工業大学に助教として移りました。

 

シグマアイでは、大学での研究活動を続けながら、様々なプロジェクトで開発の経験を積みました。多くの研究者が在籍しているので、仕事のプロセスやコミュニケーションのスタイルが大学と似ており、アカデミックの人にも馴染みやすい職場だと思います。具体的なプロジェクトとしては、ソニー様との共同研究を手掛けました。通信や信号処理の分野に対して、量子アニーリングマシンが適用できるのか利点はあるのか、その可能性を研究しました通信を成り立たせるには、受信した信号を手がかりにして、送信されたデジタル信号を推定する必要があります。その組合せ最適化問題を高速で解けるのか、様々な検証を行ったのです。

 

また、自社プロダクト「Opt-Operation」の開発にも携わりました。「Opt-Operation」は、量子アニーリング技術を活用した製造業のDXソリューションで、生産現場での工程計画の自動化・最適化を図ることができます。私はアルゴリズムの設計、数理の開発、サービス実装、一部営業も行いました。博士課程後期在学中に就職したので、研究との両立ができるが最初は不安でしたが、取締役の大関さんや観山さんやプロジェクトに関わっているメンバ−のおかげで、研究とシグマアイの業務の両立を図ることができました。「勤務時間はフレックスで、ミーティングの時間は毎週ほぼ決まっていますが、それ以外の時間は自由に働くことができました。また、アカデミックから離れた色々な世界を見ることができたので、研究者としての視野も大きく広がりました。今後、シグマアイでの開発業務で学んだことは、研究活動と産業を結びつける際に活かせると感じています。

 

正直、自分が世に出した「Opt-Operation」が一定の売上を上げるようになり、社会に貢献する実感を味わうまで、シグマアイには在籍したい気持ちはありました。しかし、新しい環境に身をおくことで自分を磨きたいという気持ちと、働いていく中で自分の興味ある分野の研究の知識を、じっくり時間を取って深めたいという意志が強くなっていったので、アカデミックに軸足を再度移し、現在東工大で研究を頑張っております。ただ、一緒にシグマアイと協業する機会があれば、東工大での活動で培ったスキルを活かして、さらに大きく世の中に貢献できることをやりたいですね。